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F-22問題を考える、地政学は新兵器出現で陳腐化する

明治維新の際日本は近代的軍隊を構築するに当たって、進んだ西洋文明の導入を急ぐあまり、地政学を学ばなかった──あるいは地政学そのものを知らなかった──ふしがある。

すなわち日本は、その地政学的立地に配慮することなく、結局当時最強といわれた西洋列強の陸軍および海軍を手本にする、というより模倣するという手段を選んだ。

当初陸軍はフランス式、海軍はイギリス式を採用してきたが、1870年そのフランスがプロシア(プロイセン 1871年ドイツ帝国に統一)に大敗したことから、一転ドイツ陸軍を範とするようになる。ちなみに、新たに制定された大日本帝国憲法もプロイセン憲法をモデルにしたものである。

時代は下がり、大東亜戦争において当初日本の空軍力が、真珠湾ついでマレー沖で大きな成果を上げたにもかかわらず、依然として「大艦巨砲主義」という亡霊を神聖視することで、いたずらに乏しい国費を浪費し続け、しかも制海権という意識も、制空権という思想に立脚した立軍思想をまったく欠如したまま、いたずらに陸海軍がそれぞれ勝手に戦略を立てて、みずから崩壊の道を辿ったのである。

さて、地政学は新兵器と連動しているという点だが、第一次世界大戦に当たって機関銃が実用化し、戦車と航空機のプロトタイプが出現した。また要塞攻撃のための大口径臼砲が活躍した。

たとえば日露戦争において、日本軍採用した機関銃が、あの勇猛なコサック騎兵を無力化し、乃木将軍が多くの犠牲者を出しても落とせなかった203高地を、日本防御のために設置していた大型臼砲を取り寄せた児玉源太郎将軍が、その威力で短期間に難攻不落と思われた203高地要塞を落城させている。

第2次世界大戦では、航空機や戦車と共に潜水艦が大活躍したのだが、終盤ドイツが開発したV1・V2ロケットが、ロンドン市民を恐怖の底に突き落としたことは有名で、戦後アメリカは、そうした科学者を多く亡命させたことで、その後ミサイル発展の礎(いしずえ)を築いた経緯を見れば、航空機の時代からミサイルの時代に完全に移行したという事実を認めざるを得ない。

しかもそのヴァリエーションときたら、「地対地」といっても、弾道ミサイルという戦略的兵器から一人用のロケットまで網羅され、その他「海対海」・「海対空(地)」「空対空(地/海)、など無限と言って良いほど多様性を誇っている。

ミサイルの出現は、ある意味かつての意味での「制海権・制空権」という地政学上のカテゴリーを、完全に陳腐化させたと言っても言い過ぎではないであろう。

前置きが長くなったが、そうした環境下において日本は、果して1機150億円ともいわれる高価なF22ラプターを、すんなりと採用していいのだろうか。
しかもそれを、お決まりのライセンス生産すれば、ゆうに200億円を超えることすら予想されるだろう。

たしかに同機は、最後の有人機といわれる高性能を誇るステルス機で、1機でF15/16/18などの現役配備中の米名戦闘機を相手にした模擬空中戦の結果、「144対0」「241対2」という圧倒的な実力を示したという、桁はずれた実力を持つ名機であることは否定できない。

ここで考えるべきことは、この「最後の……」という点である。これは航空機がこれ以上の能力を持てば、人の力では操作不能であるという、ギリギリの限界点を意味している。つまりそのくらい同機は、パイロットに過酷な精神的・体力的消耗を強いているのだ。すなわちパイロットのちょっとした体調不良や判断ミスによって、貴重な人命と高価な機体を同時に失うことになるのだ。

しかしながら、一体日本の航空自衛隊は、そうした高価なF-22を何機導入すべきと言うのだろうか。ここで述べた課題以外にも、日本では「秘密情報保護」という観念すらなく、専守防衛という大きな制限を受けている。

そうした状況の中で、高価な航空機を一体どのように運用するというのか、また、いざ(仮想敵国からのミサイル攻撃を受けた)という時に、安全な避難壕を持っているのか。

ただ子供が新しい高価なおもちゃを欲しがるように、安易な正面整備だけに固執する愚だけは避けて欲しい。

仄聞するところでは、F-22のステルス性を高めるための塗料は、日本の中小塗料メーカーの製品で、「一切他の企業には占い」という契約になっているのだという。

勿論ステルス性を高めるためには、日本のお家芸であるチタン加工技術、複合材としてのカーボンファイバーなど、日本発の技術が満載されているのだが、それ以外にも表面に受けたレーダーを乱反射させるための空気力学上の技術など、むしろ得意分野はいくらもある。

問題はむしろ、「武器輸出三原則」とか言って、軍事的な研究を阻害してきた多くの制約から、そうした「宝の山」をたくさん持ちながら、それを有効に生かし切れずにいる現実から脱皮することからスタートすべきなのだが、さて誰が猫の首に鈴を付けるというのか。

F-22に代わるプランとして

ここでは、防護用避難壕などの後方面の充実はひとまず置くとして、代替案として提案したいのは、シー・ハリアー垂直離着陸機(VTOL=Vertical TakeOff and Landing)搭載用の空母の建造である。

さてF-22導入希望の数を充当することで、コスト的にこのプランがどこまで可能かは専門家の意見を待たねばならないが、出来ればシー・ハリアー(1隻10機搭載として)3隻~5隻くらいは導入して欲しい。

「海上自衛隊の護衛艦としては最大級のヘリコプター11機を搭載できる初の「ヘリ空母」の建造が横浜市の工場で進んでいる」として、

新型護衛艦(16DDH)は、全長195メートル、全幅33メートル、基準排水量1.35万トン、速力30ノット、(中略)艦首から艦尾まで貫通甲板を備え、艦橋は右舷側に配置されている。ヘリ4機の同時発着が可能で、甲板前後に設けられる大型エレベーターでヘリを艦内の格納庫に運搬、整備をすることもできる。格納庫には8機収納が可能。

2009年8月23日に進水、その後防衛省で艤装後平成21年に就航予定で、おそらくハリアー等の垂直離着陸機も装備できるはずだ。という。

なおシー・ハリアだが、イギリスとアメリカで製造され、イギリスではすでに製造中止されているが、アメリカでは継続製造されている。

ちなみに、1982年のフォークランド紛争時。領土奪回をかけた戦いで、イギリス軍はアルゼンチンの超高速戦闘機ミラージュ200機に対し、垂直離着陸機ハリアーを空中戦用に改良した「シー・ハリアー」28機のみで戦った。結果、空中戦で撃墜されたミラージュは21機。ハリアーは1機すら失われなかった。

その後、シー・ハリアーは「黒い死神」と呼ばれ、恐れられることになる。離着陸する場を選ばず、しかも時速1170kmという超高速で飛行することが出来るという優れものである。長い海岸線を持つ日本に於いては常時近海を遊弋出来る、航空機搭載艦の存在ほど心強いものはない。

F-22に匹敵する仮想敵国機が出現した場合、そこは集団的自衛権の承認と、「思いやり予算」の代償として、アメリカ空軍の出番を待つべきであろう。

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